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少年はただ海を眺めていた。 10:46 何をするでもなく、前方を睨みつけるように 10:47 まるで親の仇を見るような目で。 10:48 10:49 ふ、と。 10:49 張り詰めていた空気が散じる。 10:49 少年は青い海から視線をはずし 10:50 青い、吸い込まれてしまいそうな空を仰ぐ。 10:50 まるで恋しい者を探すかのような目で。 10:52 けれどそれも一瞬のこと。 10:52 少年は振り返る。 10:52 遙か彼方に、かすかに人と分かる影があった。 10:54 少年は朗らかに笑んだ。 10:56 宝物を見つけた者のような目で。 10:57 本当に嬉しそうな顔をしていた。 10:59 少年へと向かってきているであろう人影が、 10:59 だんだんと姿を明らかにする。 11:00 少年と大して年の変わらない、少女のようだった。 11:00 少女は必死に走っていた。 11:01 大切なものを失いかけているかのように。 11:02 少年は駆け出した。 11:02 待ちきれなくなったのだろう。少女の方へと。 11:03 二人は互いから決して目を逸らさず、ただ目指す。 11:07 11:09 己の『特別』な者を。 11:09 11:09 11:09 11:09 それは、少年の父と少女の父が、海を渡って敵地に赴いた、次の日のこと。 11:12